認知症高齢者とアート
今回は、ひとりの認知症高齢者に焦点をあててみます。
前回(二週間前)に創作の時間を参加された時は、高齢者用歩行器を使っていらっしゃいましたが今回参加された時は、車椅子を利用されていました。 前回までは、「何をやってええのか、わからん」 そして、少し絵を描いては、「しんどい。目が見えへん」と連呼されていました。 その時の絵が下の絵。
今回は、席を隣にして難聴もあるので大きな声でいろいろ語りかけ、励まし描いていただきました。 すると今回は、常にニコニコ顔。 その上、背筋を伸ばして絵を描いています。 前回までは、前かがみになり「しんどい」を連呼されていたので入れ歯が落ちるハプニングもありました。 今回は、それが全くありません。 それどころかとても嬉しそうです。 そうして仕上がった作品が上の大きな絵です。 前回と全く違うのがわかりますよね。 仕上がった時は、とても素敵な笑顔で「ありがとう」の言葉まで出ました。
モチーフを見て描くのではなく、閃きや思うがままに描くことは、認知症の方には難しいようですが、寄り添うこと、声かけ、そしてアート作品を仕上げるという一つの目標を共有することで、認知症の改善には至らないとしても、楽しく過ごせる時間がもてるようになります。
仕上げた作品(アート)は、破棄しない限り残ります。 長い期間、創作の時間に参加していただくと多くの作品が残ります。 それらを一つひとつチェックをすることで、その参加された利用者さんをはじめ、一般の方の心の模様が観えてきます。 それを活用することで何らかの手がかりにつながるのでは?と今、これまでの作品をデータ化して調べています。 このことは、障害者にも対応できると確信しています。